白雲の道

[No.46]求めて止まないもの

Date:2003年09月26日(金)

9月26日(金)天候曇り
私たちが本当に心の底から求めて止まないもの、それはなんだろうか。
昔私がまだ小学生にもなっていない頃たくさんの家畜がいたが、ある時期父親は一頭の豚を育てていた。その豚を一生懸命に世話している父親の姿もはっきりと覚えている。畑で取れた大豆やとうもろこしや食事の残飯などさまざまなものを見繕って与えていた。
その豚がある程度大きくなった時、業者に引き取られていった。そのときの事をより鮮明に覚えている。父親が豚を観ながら目を潤ませている。その時私をはさんで横にいた姉はその父親の顔を見て涙を溢れさせていた。
小さな私はその二人を観ていた。そしてその瞬間全てを理解した。豚が引き取られてゆくと言う事だけではなく,初めて父親や姉をより深く知った瞬間だった。
その理解は今ふりかえっても明確だ。言葉は一言も交わしてはいないがおそらくは正確にその豚の運命も含めて彼らの心も感情も丸ごと読み取った瞬間だと思う。その記憶は私の直感に刻まれているが,その記憶は幸せや思いやりをも含んで今の私をも力づけている。
娘は直感をすごい言葉だと言った。では直感を言葉のように理解していて生きた人たちは,現代の人たちより、低いレベルで生きていたと言えるだろうか。
生活や経済のレベルは低かったかもしれない。しかし精神のレベルは私の観点からすると明らかに高いと思っている。この精神の高さは心のそこから求めるもののひとつではないだろうか。
午後の夕暮れが始まる前あの元気のいいスポーツウーマンHさんがやって来た。彼女は数日前に女神への決断を心の片隅にしただろう当の人だ。
軽い鍼灸によるバランス調整とイメージトレーニングの後雑談。
この前、日誌でHさんの事書いた。読んであげようか。えーまたわたしの事こと書いたんですか。今日も書こうと思っている。最近女神の事いろいろ書いているのを知ってると思うけどその聞き手になってもらおうと思ってる。いいだろうか。
そう言って前回の女神への決断を読んであげた。どう。おもしろい?んー。ちょっと考える。書いた内容は殆この前の話の感じだと思うけど。そうだけどひとつ違います。母親を亡くしたのは数年前でなく昨年です。あ、そうだったか。だったらなお更大変だったようだね。まあね。内容はどう。よく理解できます。それじゃ絶対迷惑のかかること書かないし、見知らぬ誰かの役に立つことになるかもしれないし。
わかった。いいですよ。この前架空の人の内容を読ませてもらってわたしにとってちょっと考えさせられるものもあったし,そんな事になって役に立つならいいかもね。さすが女神だね。
先生、女性は女神と言うのは分かるけど男性はどんなふうになるんですか。男性も女神と関係がある。男性は女神にはなれないかもしれないが,女神の力と結びつく事ですごい幸せな事になる。どんな風にですか。
それは名刀正宗や名刀村正を造ったような人達の事を考えもらうと分かりやすいと思う。彼らのように天才を超えてゆく幸せな人たちになる。彼らは天才になろうとがんばっていたのではない。それを越えた世界を夢見ていた人たちだ。
それは広大な無意識である虚の世界で輝くもの,つまり女神を観たいがための努力だ。
男の深いところから来る本性は姿形を超えた女神を追いかけている。それは求めて止まないものだ。先生それ女性にとってもうれしい感じです。と普段、勢いよく良く笑うHさんが美しくにっこりと笑った