白雲の道

[No.53]天才

Date:2003年10月04日(土)

10月4日(土)天候晴れ
もう30年程前になるが、そのころ私は今のコンピューターの素子であるICの研究開発の端くれだった。その頃のちょっと前には真空管と言って電球のようなものがテレビの中に数本立っていた。それによって電子が制御されてテレビが映る仕組みになっていた。
それがある天才的な人たちの発見によってシリコンと言う石を使った構造に置き換えられた。それがある天才的な発明家によって更に進んでその石の中に複数の素子が埋め込まれるようになった。それが集積回路、ICの誕生だ。
私がこの世界に入った頃は既に将来この集積度は限りなく高くなることは予想されていた。その為の競争が加速し始まったのもこの頃で、それからの進歩はだれもが目を見張るものだと思う。しかし,その技術力はすさまじいほどのものだが,その原理はそれほど難しいものではない。
それはこんな感じだ。真夏の暑い太陽の下日光浴をしているとする。その時ハートがたのワッペンを背中に貼り付ける。一時間もしてそのワッペンをはがすとハート型の形だけが日焼けせず残り,その周りは日焼けして少し赤くなる。後にその赤くなった部分の皮膚がむけるが、ハート型はそのままの皮膚だ。
つまりそこに微妙な段差が出来る。それと同時に性質の違いが生まれる。皮膚の電気抵抗が変化することになる。
ICではシリコンと言う純度の高い棒状の石をハムのように薄くスライスし,それに何回もワッペンを張り替え熱や気圧を変化させたり、化学薬品を使って性質の違いを浮き彫りにして電子回路を形勢してゆく。
石の構造の中に電気抵抗の違いと特異な性質が生まれるが、そのワッペンが小さくなったのと正確な技術力が違うだけで、原理は今も変わらない。
この頃この技術を更に研ぎ澄まし,複雑な電子回路に展開するために優秀な人材が集められしのぎを削っていた。同期の者の中にも天才的な数学の能力を持っているものが数人いた。例えば難解な原子物理学の波動方程式の問題があるとする。彼らはその問題を数十秒で解いてしまう。これは天才の成せる技だ。
そんな中、中でも親しくしていた友人であるが最も優秀な一人が同じ開発課にいた。彼は2,3年の間に特許を10件以上も申請している。そんな奴と凡人の私が比べられたものだからある年のボーナスが最悪だった。それが原因で頭に血が昇り辞めてしまったが,私の最も熱い時代に最先端科学の熱い時期を目の当たりに出来た事は幸運だった。
石の構造は簡単なものだが,この性質にはすごいものがある。まだ解明されていない大きな石の構造を持ったピラミッドや世界各所の石の構造にも何かあるに違いない。そのうちこれらを解明する天才が現れるのだろう。
講習会が終った遅い時間に以前、日誌の才能かそれとも直感かで登場してもらったTさんがやって来た。彼女は相変わらず毎日のようにせっせと通ってきている。小説でせしめた賞金をここにみんなつぎ込むつもりでいるらしい。
軽いバランス調整の後、雑談。最近はコーヒーを飲んで一休みするのが定着した。
どうだい、最近何か変わった面白い事ない?別に変わりません。ニコニコしているがそれで話はおしまいだ。それではと思い最近の日誌の内容をこちらから話した。以前はあまり面白そうではないと言う顔をしていたが,最近は違う。大きな笑顔で笑っている。それだけではなく,大いに関心している所もある。
それで私はうれしくなって次は何を書こうとしているかまで話してしまった。
そうだ。久しぶりにカードで数字当てやってみようか。以前やり方を教えてあったが彼女はまだ2回目なので確認のため5枚引いてもらった。
驚く事に60枚ある中で彼女は1枚目3と言ってカードは3であった。2枚目は外れたが3枚目は54と言ってカードは54ぴったりと当たった。4枚目は外れたが,5枚目は一つだけあったので合計11点。これはすごい得点だ。
的中した3のカードはエンライトメント。光明と言う意味だが,これは無意識からの光を意味し女神をも意味している。54のカードはシングルポイントネス、意味は一つの思いだ。彼女の未来のメッセージは女神にかけたひとつの思いという事になる。出来過ぎた話に聞こえるかもしれないが本当だ。
ここで勝負しようと思ったが今日は勝ち目がない様なのでそれで止めた。女性の直感に一度火が着くとだれも止められない。彼女は天才なのかもしれない。