白雲の道

[No.57]無視しそれを許せ

Date:2003年10月9日(木)

10月9日天候晴れ
長く暗闇で生活している人や,引き篭った人生を生きる人達の意識はどこにあるのか。それは大脳と小脳の中間にある中脳と言われる領域だ。ではこの領域が悪いのかと言うとそうではない。
ただこの領域でまともに考える事は難しいし,眠る事さえ難しいだろう。この領域はトランス領域だからだ。トランスは変換と言う意味だが,簡単に例えて言うなら、居間でもなく寝室でもなく,台所だからだ。
台所のような食材が置いてあり,包丁や火器がある所,そこを締め切り寝泊りしたらしばらく生きられはするが、人生の楽しみも軟らかい布団もないがために疲れが取れない。食材が腐り始めたら気が落ち込むか気が狂いそうになる。そこに包丁が置いてあるとするなら恐ろしい事になるだろう。
しかし,不思議な事にこのトランス領域はもう一つの方向性と性質を持っている。その事を理解するならこのトランスは価値のあるものに一変する。
このトランス領域の前後に意識の振り子はゆれている。眠っている時は後方に、目覚めると前方に移動しながら揺れている。もしその揺れが止まると誰でも死が起きる予感がする。
だから眠る事も行動する事も出来ないトランス領域で長い期間いると、方向の定まらないぐるぐる廻る運動や左右にずれ込んだ揺れ方を続ける事になる。
しかしそれは死ではない。意識そのものがトランスする事だ。この振り子が前後にゆれると意識は水平に運動する。しかしこの振り子がほぼ止まると意識は垂直に運動する。
瞑想とは何かと言うと意識を垂直に移動する事を言うが,彼らの努力はここにある。わざとこの振り子を止めようとしているのだ。
そのための技法は多くあるが、その代表的な一つが呼吸をただ見つめる方法だ。私も随分とやった事があるが雑念が出てきてうまく出来なかった。ここで二つの難しい事を同時に行なう。
一つは呼吸を見つめる。呼吸を見つめると自動的にこの振り子は小さくなる。もう一つは雑念が出てきても無視する。トランス領域に近づくとよい悪いに関わらず雑念のイメージが沸きあがり眠気や不安感が出てきたりするが無視する。
この二つが完全に出来ると意識そのものが高いところにトランスされる。もし、この雑念に乗って過去や連想ゲームのような事をやっているとただただ身体も心も蝕んでしまう。なぜかと言うとそれは過去の冷たい亡霊と遊んでいるようなものだからだ。
つまりこのトランスの領域は前方と後方それと上方と下方にその方向性を持っている。
この中で上方は最高だが,下方は最悪だ。前後はそれぞれにすばらしい。
架空の人Rさんが重い心を引きずってやってきた。
軽いバランス調整と陰呼吸トレーニングの後雑談。
ちょっとは軽くなったかな。身体がちょっとまっすぐになった感じは分かります。
そうだ。昨日の日誌、意識の振り子読んだ?はい読みました。良かったと思います。
どんな風に。いろいろ思い当たるところがありました。そうか良かった。
彼女は以前日誌に書いたタロットカードの内容を読んでその事にも興味があるらしい。
今日はタロットカードを使って数字当てゲームをやって一息つくか。はいとちょっと自信ある感じが観える。
まず最初5枚のカードを当ててみる。60までの数字のうち片方だけが3枚当たって3点だ。なかなかの点数だ。2回目も3点。3回目は1点だったが,勝負師の才能がある程の点数だ。その後勝負をしたが2勝1敗で危うく負けるところだった。始めは勝って見せないと格好がつかない。そのプレッシャーがこちらにかかってしまった程だ。彼女はさりげない様子で楽しんでいるが、こちらの先行きが心配だ。
彼女が帰りしな過去を思い出しているとその言葉の中に裏心を観てしまうのですが,どうしたらいいのでしょうかと聞いた。私はその真実を問わずにただ無視しそれを許せと言った。おそらくその辺が問題の中の問題だと思う。
わたし達は熱い思いを現実にする者であるが,過去のイメージの中に迷い込む者ではない。
女神は裏心を観てそれを許す。なぜならその裏にある欲望そのものを深く理解するからだ。彼女にはそのような理解力と静けさが在る。