白雲の道

[No.63]トランスでの交合

Date:2003年10月16日(木)

10月16日(木)天候快晴
トランス、その状態は最高に気分良く酔っ払っているときの状態に似ている。誰でもそんな時、何でも出来そうな気がしてしまう。それ程面白い事がなくても笑ったり。感動のシーンを思って一人感動してみたり,エベレスト制覇だと思えばそれが目の前にある気がしてくるかもしれない。想像と現実の間が明確ではなくなるからだ。ランニングハイと言って限界状態で走っている場合も起きるらしい。
こんな不思議な状態。その状態は自分がどこにいるか,自分が誰なのかも忘れているかもしれない。それでまったく問題はない。しかしその状態を罪悪感のように感じてしまう場合もある。
悪酔いしたようなトランス状態で悶々と過去の状況を思いだし、誰も言ってもいない事をきっとそう思っていたに違いないと決め込んだり,ちょっとした顔のニキビを人は笑うに違いないと思いつめたりすれば,そのトランスは最悪になる。そのとおりに感情が動き出すからだ。
そうなると思い過ごしだと知ってはいても止まらなくなる。そんなトランス状態でいた自分に罪悪感を感じるのも無理はないが、しかしトランスが悪いのではない。
トランスは無心に価値があると昔から言われているが、逆にいうと無心がすばらしいのはトランス状態においてだ。
けんかをするときに無心でいたら殴られるだけだろう。
深く眠りの中に入っている場合も無心より夢を見ている事に価値がある。深い眠りの中ではどんな不幸な思いも愉しいものも一まとめにしてヒーリングしてしまうがために無心になる必要はない。
しかしトランス状態では空っぽの方が良い。。トランス状態では思うが速いか身体や人生にギアが入ってしまう。それはそれでいいが、しかしそこに微妙な問題がある。
それはトランスでは考える力が乏しい事と善悪の判断力がないに近い。だからこの状態では望んでいる事,逆に恐怖している事も現実に移行し始める。
そのためこのトランスの使い方はこの領域を無にしておいてあらかじめ創ったイメージをここに移動するように使う。その理解が思いもよらない価値になるが難しい事を言っているかもしれない。
午後の落ち着いた時間にある相談事を持って架空の人Yさんがやって来た。
相談事を伺っての後雑談。
Yさんは自分の問題ではなく身近にいる人の心配でやって来た。
大体の内容は分かりました。問題もどこにあるか分かりました。それをどのように解決するかはこれからの楽しみですね。でも難しい人で困ります。
Yさんはその人をとても大切に考えている。それはすばらしい事だが、そのために相手の現状に振り回されている。
問題は現状よりも態度である事が多い。例えば相手に対して媚びた態度でその人の問題を解決してあげようと思ってもうまくいかない。なぜならそこには観る者と観られる者の間にエネルギーの交合はないからだ。
先生、私はヒーリングを習った事があるのですが,その人は嫌がるので,時々眠っている間にやってあげるのですが、どうもうまくいかないのです。
鍼もそうですが相手が眠っていては効かないのと同じですね。でも先生、はりを受けて気持ちよく眠っている人もいますよ。
そうです。はりをした後やヒーリングした後ならそのあたたかさの中で眠るのはすばらしいのですが,その時に気がつかないほど眠っている場合はエネルギーが周らないのです。そうでしたか。
それはちょっと難しいですが,説明してみましょう。
ヒーリングしている人が観ている。ヒーリングされている人は観られている事を身体で観ている。その交合の中で新しい事が起こる。特に習慣で身体を歪めたり、自分自身で自由を制限している場合は自分がその違和感を見ているだけでは難しい。
しかしそれはお互いリラックスしたトランス状態ではこの陰陽の交合が起こるので創造や解放が容易になる。しかし眠っている中ではこれは起こらない。
Yさんは探求者の目を持っているようだ。トランスにも興味ありげに後ろ髪を引かれるように何回もお辞儀をしながら帰っていった。